湖で水浴びをしていると、糸トンボがタンデムで飛んできて、私の手に止まりました。尻尾で何かを探るような仕草をしています。産卵の準備でしょうか。
森では、いつもの子鹿が今日も元気に過ごしています。まだ親離れはしていません。もしメスなら、このままずっとこの場所に留まるのでしょう。


蜘蛛の巣を見ると、沢山の小さな蜘蛛たちが卵から孵っていました。体はまだ透明です。この中の一匹でも生き残り、次の世代へ生命を繋ぐことができれば、成功と言えるのかもしれません。
蝉もようやく賑やかに鳴き始め、木の幹では蛾がうまく気配を消してカモフラージュしています。






複眼で光の反射を捉える糸トンボ、樹皮の質感に身体を溶かし込む蛾、微かな匂いや音を感じとる鹿、そして糸や空気の微細な振動から周囲を感じ取る蜘蛛たち。人間とは全く異なる感覚のフィルターを通して、生き物たちは、この同じ森や湖をどんな世界として見ているのでしょう。
夕方、富士山が綺麗に赤く染まるかと思い、丘に登りましたが、日が沈む頃には太陽が雲に隠れてしまいました。それでも雲の隙間からは、樹海へ向かって美しい光が差し込んでいました。


この森と山の中に、無数の生命が息づいています。
夜になると再び雲が散り、風も穏やかになりました。一日の内でもどんどん表情を変えていきます。暗闇の中の富士山には、山小屋の灯と登山者たちのヘッドライトの光の帯が浮かび上がっています。
夏の風物詩です。


