虫たちの越冬

未分類

薪割りをしていると割った木の中からスズメバチがでてきました。ゆっくりですが確かに動いています。どうやら冬眠をしようとしていたようです。
スズメバチの世界では、越冬するのは新しい女王蜂ただ一匹だけです。つまり、この小さな命こそが、来年の群れへと生命をつなぐ唯一の希望だったわけです。とても申し訳ない気持ちになり、そっと木の穴に戻し、上から落ち葉をたくさんかけました。どうか無事にこの冬を乗り越え、春にまた命を繋いでくれることを願います。

スズメバチが新女王蜂単独で越冬するのに対して、ミツバチは女王蜂と働き蜂が集団で冬を越します。彼女らは巣の中で身を寄せ合い、身体を細かく震わせて熱を発生させ、巣を温めます。

冬になると特に虫たちは地上から一斉に姿を消します。しかし、決してすべてがいなくなったわけではありません。虫に限らず動物たちも木々も、それぞれが厳しい季節を乗り越えるための知恵を使い、見えないところでしっかりと春への準備を進めています。

さらに、多数の昆虫は成虫の状態では冬を越せません。彼らは、卵や幼虫、あるいは蛹といった姿になって、世代を越えて春を待ちます。
植物の世界でも、一年草と呼ばれる種類は冬を越せません。種として冬を越します。
これらは皆、卵や種子といった「越冬できる形」に自らを変え、次の世代へと命のバトンを渡すことで、厳しい冬を越えていきます。

この静かで大切な冬が、また次の生命を育みます。

タイトルとURLをコピーしました