思考を巡らせ、春を歩く

ツアーのこと

一気に暖かくなり、最高気温は20度を超えてきました。
花が咲き、虫たちも活発に動き出しています。

ふと見ると、コブシの花に蜘蛛が巣を張っていました。蜜の匂いに誘われてやってきた蚊が、ことごとく罠にかかっています。「花粉を運んでほしい花にとっては少し迷惑なのかな?」とも思いましたが、もしかすると蜘蛛は、花にとっての害虫を駆除するボディーガードの役割を担っているのかもしれません。

野生動物たちも、季節の移ろいの中にいます。
鹿は美味しい新芽にありつくまで、あと少しの辛抱です。
庭に紛れ込んだハクビシンは、猫に追われて慌てて木に登っていきました。枝の上で目を閉じてじっとしていますが、そのまま寝てしまったのでしょうか。
南国から帰ってきたツバメは巣作りを始めています。

仕事場の周りでも桜が咲き始めました。
今年は少し春が早いようです。

「よく見て、よく考える」という遊び

わたしは仕事柄、学校行事や企業研修などで樹海や近隣のハイキングルートを案内することが多々あります。
集まった全員が、最初から自然に興味があるわけではありません。だからこそ、私は「自然を好きになってもらう」こと以上に、「よく見て、よく考えることは楽しい」と感じてもらえると良いなと思っています。

「なぜだろう?」と想像を巡らせる癖がつくと、それは自然の中に限らず、あらゆる場面で人生を豊かにしてくれるはずだからです。

例えば、今の時期に咲くサクラやモクレン、コブシ。
これらは例外もありますが、葉が出るよりも先に花が咲きます。普通なら「葉」が先にあって光合成ができた方が効率が良さそうです。
みなさんはなぜだと思いますか?
他の植物より先に花を咲かせることにより、虫や鳥などの受粉媒介者を独占できるのかもしれません。はたまた風で花粉を飛ばすために葉っぱが邪魔なのかもしれません。
どちらにしても「きっと去年から栄養を蓄えて準備していたんだな」と想像できます。
そんなふうに、植物たちが独自の戦略を駆使して頑張っている姿を想像すると、その植物が急に愛おしく見えてきます。

あるいは、花の色はどうでしょうか。
春先に咲く花は、ピンクや白など淡い色が多い気がします。
これはなぜでしょうか?
「まだライバルが少ない時期だから、薄い色でも十分に虫に見つけてもらえるのかな?」
「濃い色の花を咲かすには沢山の栄養が必要なのかな?」
などと考えます。

こんな風に、観察から問いを立て、自分なりの仮説を立ててみる。
後でインターネットや図鑑などで答え合わせをしてもいいと思います。正解していれば嬉しいし、違っていれば新しい発見があって、また一つ賢くなれます。

日常を冒険に変える視点

こうした「問い」を持って外に出れば、見慣れた道も、お金をかけずに楽しめる最高の遊び場に変わります。

正解を知ることだけが学びではありません。目の前の現象に「おや?」と立ち止まり、その背景にある理由を想像してみる。そのプロセスそのものが、私たちの心を耕してくれるのだと思います。

春の陽気に誘われて外に出る機会が増えるこれからの季節。
みなさんもぜひ、足元の小さな変化に目を留めてみてください。そこには、まだ誰も気づいていない植物たちの「戦略」が隠れているかもしれません。

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